建物の正面に飾られた水牛の角が、誇らしさと静寂を醸しているトラジャの民家(撮影:1998年4月)

 住まいの正面に据えられた柱に、水牛の角がズラリと飾られた姿が圧巻だ。この建物はインドネシア・スラウエシ島・トラジャ地方の伝統的な民家である。
 この地では昔から、水牛が尊ばれ、神聖化されており、家内安全を祈願して角を飾る習慣がある。息子や娘が結婚したとか、子供が生まれたとか、お祝い事があるたびに角を増やしていくという。
 たくさんの民家を訪れた。どの家も、建物正面の角が誇らしげで、かつ静寂さを醸し出していた。なかでも、ひときわ角の数が多かったのが写真の家だった。数え切れないほどのお祝い事が重ねられてきたということは、古くから続いてきた由緒ある家柄なのかもしれない。
 ところで、強い日差しのなかで犬が佇んでいるが、何を考えているのだろうか、少し気になった。

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