犬とアスファルトの温かい関係が羨ましい(撮影:1990年5月)

 「あっ!犬が行き倒れている どうしたんだ」と叫びたくなる光景だ。ここはブータン第二の都市パロの中心街である。
 ボクは思わず、同行してくれているガイドのカルマ・ジャンツーに目を向けてしまった。彼は何もなかったかの表情をくずし、少し笑顔になって「心配することはありません。気持ちよく寝ているだけですよ」という。
 パロの5月は日本と同様、一番いい季節である。冬が去り日差しが強くなり、舗装道路のアスファルトが温められる。当時、ブータンはまだ舗装された道路が少なく、中心街だけだった。
 この犬というかワンちゃんにとって、ほんのり暖かいアスファルトは昼寝にもってこいの心地よいベットというわけだ。殺生をしないこの国の人たちは、人も自動車もオートバイもワンちゃんの昼寝を邪魔することなく、避けて通っていく。
 そうと分かると、美しい伝統建築の街並みを背景に、眠るワンちゃんが羨ましくなって来るのであった。

【comment】

    %d人のブロガーが「いいね」をつけました。