山奥の国境は「禁止出入境」の立て札がさりげなく置かれているだけだった(撮影:1994年3月)

 これといった印象に残るものなど何もない風景であるが、わざわざ出向いていった場所である。それはここが中国・雲南省・シーサンパンナ・タイ族自治州とラオスとの国境だったからである。
 シーサンパンナの熱帯雨林植物園に巨木の板根を見に行った帰り、案内を頼んだガイドが「すぐそこがラオスとの国境なので寄ってみますか」といわれ、「もちろん」ということになったわけだ。
 国境といっても写真のとおり何もなく、それらしきものは「禁止出入境」の立て札と中国・ラオスと刻まれたコンクリート製の塚だけだった。地面に国境線が引かれているわけもないので、この場に立つと「こんなもんなんだ」と納得した。
 観光客でも日帰りだったら、特別な許可書など必要なくラオス側に入って、見学なり遊ぶなりしてきてもいいと、現地の人が言っていた。でも、こんな山奥で遊ぶところ(例えば冷えたビールが飲める店)などなさそうなので、やめておくことにした。

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