円楼の内側は木造の暖かみある空間が広がり、外観の要塞とは別物だった(撮影:1993年3月)

 客家の人たちの住む円楼の内側である。外側の分厚い土壁に囲まれた要塞に比べて、木の温もりが感じられるおだやかな空間が広がっている。中国・福建省・永定県には多くの土楼(円楼、方楼)が残っている。
 築100年、200年というものもたくさんあり、現在も使われている伝統建築物だ。2008年には世界遺産にも登録された。写真の円楼は3階建ての中規模なもので、大規模なものは4,5階建てもある。
 この集合住宅に一性族の一族郎党が暮らしている。世帯数にすると100近い数になる。住まい方は1階が台所・食堂、2階が貯蔵庫・物置、3階が寝室という縦割りである。でも、各世帯の住居に内階段はなく、4ヶ所ある共通の階段を上がり、回り廊下を通って上階に移動する。
 これでは、けっこう不便ではないか、横割りに使わないのか、と思った。でも、ボクの邪推など及ばない、客家人の長い伝統に培われた暮らし文化がここに活かされているのだろう。

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