インドネシア・トラジャの伝統建築は森に浮かぶ海洋船だった(撮影:1998年4月)

 トラジャ地方はインドネシア・スラウエシ島の中央付近にある。この地に建つ特異な風貌の建物を調べてみたくて、出かけたのはいまから25年ほど前になる。構造は柱、梁による木造で大きな屋根は竹材で葺かれている。現地では「トコナン」という。
 両端が極端に突き出た屋根の形は、遠い昔トラジャ民族が海洋民族だったことに由来しているらしい。内陸に移り住むようになっても、そのアイデンティテーから船の形を取り込んだという。
 いわれるように、遠くからトコナンを眺めると、森林という波間に浮かぶ船のように見えるのであった。
 年々、伝統的なトコナンが減って、近代的な建物を建てる人が増えているようで、少し淋しい気がした。

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