巨木を支える板根に「素晴らしい、やるじゃないか」とエールを送った(撮影:1994年3月)

 巨木は人を引き寄せる力がある。ボクもこの木に触ってみたくて中国・雲南省・シーサンパンナまで出かけていった。ここシーサンパンナには広大な面積の自然保護区になっている熱帯植物園があり、世界中から研究者がやってくるそうだ。
 写真の巨木はフタバガキ科の常緑樹で50メートル以上ありそうだ、根元には板根(バンコン)という魚の背びれにような根が張っている。実は巨木というよりは大きな板根に興味があった。
 昆明(クンミン)から案内を頼んだ気さくなガイドによると、この自然保護区には「野生の象も生息しています。十分注意してください。以前、上海から来たカメラマンが近づきすぎて踏みつぶされましたから」と脅すのであった。
 樹木が高く上へ上へと伸びると、同時に根はより深く地中に伸びて、風圧などで倒れないように頑張る。とはいっても育つ環境に大きく影響される。
 熱帯林にあっては、地面の表層部分により多くの養分が集まっているため、根はその養分を求めて深くではなく横に広がって伸びるのだ。そうなると倒れやすくなってしまう。そこで板根が四方に伸びて支えるのである。
 「素晴らしい。やるじゃないか」敬意を込めてポンポンと手をそえて板根にエールを送ったのでした。

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