優美な姿で、訪れる人を癒やしてくれるトン族の「風雨橋」(撮影:1991年5月)
なんと優美な姿だろう。心が洗われるような気持ちにさせてくれる。この建築物は橋で、中国・貴州省・広西三江トン族自治県・馬安村に存在しており、少数民族トン族の人たちが建てたものだ。
トン族は“木の民”といわれており、木造建築技術に長けている。約30年前になるが、このことを知りどうしても調べてみたくなり、出かけた。かなり過酷な旅であったが「来ることができて本当によかった」とつくづく思った。
木造で作ったこうした橋を当地では「風雨橋」と呼び、トン族の人たちの暮らしの中に根付いており、各村々にたくさん見られる。人や家畜が川を渡るという機能だけでなく、装飾された立派な屋根が架けられ美しい。
この地域は雨が多く屋根で橋を守ることもあるが、何かにつけて人々が集う交流の場にもなっているため、誇らしいものにしたいという思いがあるようだ。「橋を見れば、その村が豊かどうかが分かる」と云われている。
欄干に沿った腰掛けに座って、長閑な川面を眺めると、気持ちが落ち着き、顔をなでる風がここちいいのであった。
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