“かがり屋さん”が活躍できた時代は遠くなってしまった(撮影:1993年3月)

 なんともほんのりした気持ちにさてくれる風景ではないだろうか。場所は中国・福建省・漳州市の路地裏といった場所で、たまたま見かけた光景である。恋人同士が何か語り合っているよう見えるでしょう、でもそうでありません。
 女性は路上にミシンを持ち出して、何やら作業をし、男性はその作業ぶりを眺めている。女性は路上で商いをしているのであった。服やズボンの破れたりほつれたところを修理する商売だ。“かがり屋さん”とでもいうのだろうか。
 今や“かがり屋さん”など出る幕はなく、衣服は大量生産・大量消費・大量破棄の時代になってしまった。約30年前はそうではなかったことを思い出させてくれる写真である。

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